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金融庁のコンプライアンス・リスク管理基本方針案にあるリスクベース・アプローチ

https://www.fsa.go.jp/news/30/dp/compliance.pdf
「コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方(コンプライアンス・リスク管理基本方針)」(案)

個人的な経験や理解では5年~10年遅れくらいのイメージなんだけど、やっと日本の金融庁も追いついてきた感じ。多少の応用をすれば様々なケースでの判断基準の醸成に使える考え方なので抜粋。現在意見募集【「コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方(コンプライアンス・リスク管理基本方針)」(案)の公表及び意見募集について】などもしているようなので、リスクマネジメントや内部監査・業務監査に興味のある人には勉強になるかも? 金融系じゃなくても考え方は似たようなものとして捕らえられるでしょう。

リスクベース・アプローチではリスクの識別の重要性とその評価が第一歩になる。これは、(5年前に書いた)リスクマネジメント でも取り上げた考え方です。





【従来のリスク管理の傾向】
従来、金融機関においては、法令や検査マニュアルのチェックリストを形式的かつ厳格に遵守するというルールベースの発想が強く、これまでのモニタリングにおいて、次のような傾向がみられた。
① リスクベースの発想が弱く、実効性・効率性を十分に考慮しないまま、過大な負担を生じる管理態勢が構築され、経営上の重要課題に十分な経営資源を割くことができない。
② 発生した問題事象への事後的な対応に集中しがちとなり、将来に如何なるリスクが生じ得るかを考え、それを未然に防止するという視点が弱い。
③ 新たなリスクへの対応という視点が弱く、動きの激しい金融の世界では、法令・制度が必ずしも十分に整備されていない新たな領域等からリスクが生じることがあるが、それが管理の対象から抜け落ちる。

(1) リスクベース・アプローチ
これらの問題を解決するためには、費用対効果や、法令の背後にある趣旨等を踏まえた上で、自らのビジネスにおいて、利用者保護や市場の公正・透明に重大な影響を及ぼし、ひいては金融機関自身の信頼を毀損する可能性のある重大な経営上のリスクの発生を防止することに重点を置いて、リスク管理を考える必要がある。
リスクベース・アプローチのリスク管理態勢を実効的に機能させるためには、単にリスクベースの発想を持つだけでなく、まさに経営陣が主導して当該発想に基づいたプロセスを実行に移すことが必要となる。リスクベース・アプローチのリスク管理態勢は、
大別して、次のプロセスからなると考えられる。

① リスクの特定・評価
幅広い情報収集を行うとともに、コンプライアンス・リスクを包括的かつ具体的に特定・評価し、重大なリスクの所在や、態勢整備が急務である領域を洗い出すプロセス。

② リスクの低減・制御
特定のリスク、または、特定の部門・部署に関する態勢整備等、個別領域のリスクを低減・制御するための具体的な行動計画を策定し、実行するプロセス。

これらのプロセスを実際にどのように実行に移すかは、金融機関の規模・特性によっても異なり得ることから、それらに応じた創意工夫により、適切な管理態勢を構築できるよう、プロセスの実質を向上させる努力を続けることが重要である。
また、このようなリスクベース・アプローチの結果、不要・過剰な社内規程等の存在が明らかとなった場合には、当該規程等の改廃や金融機関の規模・特性に応じたメリハリのある対応等、より効率的な態勢を構築することも考えられる。


(2) 幅広いリスクの捕捉及び把握
リスクの特定に当たっては、重大なリスクを的確に捕捉及び把握することが重要である。リスクの特定は、金融機関の事業に関して適用される法令を洗い出し、その法令に対する違反が生じ得る業務を特定することが出発点となる。さらに、経営陣には、金
融機関の事業が社会・経済全体に悪影響を及ぼすことにならないか、利用者保護等に反しないかといった、より本質的な観点からリスクを深く洞察する姿勢が求められる。このような姿勢が欠けると、例えば、次のような場合に重大なリスクの見落としや見誤りが生じ得る。

① 金融機関が、ある業務に関し、その適切性について問題意識がないため管理対象とはしていないが、それが実は多数の顧客に損失が生じることとなるものや、大きな社会的批判を受ける可能性のあるものである場合(コンダクトリスク)。

② 金融・経済の激しい動きの中で、従来の法令による規制の枠組みでは捉えられない、新たな金融商品や新しい取引手法・取引形態が登場し、法令の整備に先立って経済活動が進行しているような場合。

これらのリスクを捕捉及び把握するには、利用者保護や市場の公正・透明に影響を及ぼし、金融機関の信頼を大きく毀損する可能性のある事象を洗い出すことが必要となる。また、その際、生じた問題事象への事後対応のみに集中するのではなく、様々な
環境変化を感度良く捉え、潜在的な問題を前広に察知することで、将来の問題を未然に防止することも重要である。



コンダクト・リスク
近時、コンダクト・リスクという概念が世界的にも注目を集めはじめている。コンダクト・リスクについては、まだ必ずしも共通した理解が形成されているとは言えないが、リスク管理の枠組みの中で捕捉及び把握されておらず、いわば盲点となっているリスクがないかを意識させることに意義があると考えられる。そのようなリスクは、法令として規律が整備されていないものの、①社会規範に悖る行為、②商慣習や市場慣行に反する行為、③利用者の視点の欠如した行為等につながり、結果として企業価値が大きく毀損される場合が少なくない。
そのため、コンダクト・リスクという概念が、社会規範等からの逸脱により、利用者保護や市場の公正・透明の確保に影響を及ぼし、金融機関自身にも信用毀損や財務的負担を生ぜしめるリスクという点に力点を置いて用いられることもある。
コンダクト・リスクが生じる場合を幾つか類型化すれば、金融機関の役職員の行動等によって、①利用者保護に悪影響が生じる場合、②市場の公正・透明に悪影響を与える場合、③客観的に外部への悪影響が生じなくても、金融機関自身の風評に悪影響が生じ、それによってリスクが生じる場合等が考えられる。
従来から、金融機関は、その業務の公共性や社会的役割に照らし、利用者保護や市場の公正・透明に積極的に寄与すべきと考えられてきた。したがって、コンダクト・リスクは、金融機関に対する上記のような社会的な期待等に応えられなかった場合に顕在化するリスクを、比較的新しい言葉で言い換えているにすぎないと考えることもできる。




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Author:Colorless Freedom
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